結論から言うと、成人の1日の尿量は約1,000〜2,000mL(1〜2リットル)が目安で、4〜8回の排尿に分かれます。体重で考えると、1日に体重1kgあたり40mL未満がふつうの範囲です。

このページでは、基準値の一覧表、1時間あたりの尿量、尿が飲んだ量より少なくなる理由、24時間蓄尿の量、受診の目安を順に説明します。

基準値の一覧

項目目安補足
1日の尿量(24時間)約1,000〜2,000mL1日分の合計
1回の排尿量250〜400mL1日4〜8回に分かれる
1日でいちばん多い1回量400〜600mL多くは朝いちばんの排尿
1時間あたり体重1kgあたり0.5〜1mL体重70kgなら1時間に約35〜70mL
医療で注意する下限0.5mL/kg/時未満が6時間急性腎障害(AKI)の基準のひとつ
体重あたりの上限の目安1日40mL/kg未満超えると多尿(泌尿器科の基準)
夜間の尿量の割合1日量の約20%未満65歳以上は約33%未満
飲んだ量と尿量の差約500〜800mL呼吸・皮膚・便から失われる水分
乏尿1日400mL以下医師の診察が必要
無尿1日100mL以下すぐに受診

注:ここに挙げた値は成人の一般的な目安で、診断の基準ではありません。この記事は医師の診察に代わるものではありません。

体重1kgあたりの尿量

mLの数字は体格によって意味が変わるため、泌尿器科では尿量を体重と合わせて考えます。1日に体重1kgあたり約40mLを超えると多尿の目安です。

  • 60kg → 1日約2,400mLを超えると多尿
  • 70kg → 1日約2,800mLを超えると多尿
  • 80kg → 1日約3,200mLを超えると多尿
  • 90kg → 1日約3,600mLを超えると多尿

日本の文献では、1日2,500〜3,000mL以上を多尿とすることが多いです。いちばん多い原因は、単に水分をたくさんとっていることです。そのため、尿量を評価するときは、飲んだ量も一緒に記録します。

1時間あたりの尿量

成人の正常な尿量は、体重1kgあたり1時間に約0.5〜1mLです。体重別の目安は次のとおりです。

  • 50kg → 1時間に約25〜50mL
  • 60kg → 1時間に約30〜60mL
  • 70kg → 1時間に約35〜70mL
  • 80kg → 1時間に約40〜80mL
  • 90kg → 1時間に約45〜90mL

1日1,000〜2,000mLを24時間で平均すると、1時間あたり約40〜80mLです。ただしこれはあくまで平均で、腎臓は起きているあいだに多く尿をつくり、夜は抗利尿ホルモンの働きで尿が大きく減るため、眠りが妨げられにくくなっています。

医師が注目する数字

病院で大切なのは下限です。国際的なKDIGOのガイドラインでは、尿量が6時間以上0.5mL/kg/時未満であることが急性腎障害(AKI)の基準のひとつで、24時間以上0.3mL/kg/時未満は最も重い段階にあたります。手術後や集中治療室で、カテーテルを使って1時間ごとに尿量を測るのはこのためです。

自宅では、この同じ数字だけで判断することはできません。夜間や長いあいだ水分をとっていないときには、腎臓に問題がなくても数時間この値を下回ることがあります。水分が少なくて尿が少ないのは水分の問題です。普通に飲んでいるのに尿が少ない場合や、むくみ・意識の混乱・息苦しさを伴う場合は、医療の問題です。

夜間に尿が減るしくみがうまく働かないと、夜間多尿になります。1日の合計は正常でも、夜につくられる尿の割合が大きすぎる状態です。そのため排尿日誌(排尿日記)では、1日の合計だけでなく夜間の割合も確認します。

1日の合計と1回の量の違い

この2つの数字は別のことを表しているので、混同すると判断を誤ります。

  • 1日の合計は尿をつくる量、つまり腎臓と体の水分バランスを表します。
  • 1回の量は膀胱、つまり尿意を感じるまでにどれだけためられるかを表します。

たとえば、200mLの排尿が10回でも合計は2,000mLで、1日量は正常ですが、膀胱は早めに尿意を伝えています。400mLが5回でも合計は同じ2,000mLで、こちらは膀胱に特に問題はありません。合計が同じでも、状況はまったく違います。1回の量の目安は250〜400mLで、いちばん多い朝の排尿では400〜600mLになります。

男性と女性の違い

基準値に大きな差はなく、1日約1,000〜2,000mLは男女共通の目安です。違いがあるとすれば、性別よりも体重や飲む量によるもので、そのため一定のmLの上限より体重あたりの計算のほうが参考になります。男女で違うのは、むしろ異常が起きたときの原因です。男性では前立腺肥大と残尿、女性では骨盤底、妊娠、更年期、尿路感染症が主な原因になります。

飲んだ量と尿量が一致しない理由

毎日約500〜800mLの水分が、尿にならずに体から出ていきます。呼吸で吐く息、皮膚、便から失われる分です。この量は暑い日や運動したときに大きく増え、たくさん汗をかいた日には1リットル多くなっても珍しくありません。

この程度の差はふつうのことです。注意が必要なのは2つの場合です。差がとても小さいときは、記録していない飲み物があることが多いです。差がとても大きい状態が続くときは、汗のほかに、むくみ(体に水分がたまる状態)や膀胱が空にならない状態が考えられ、後者は一度診てもらう価値があります。

24時間蓄尿の尿量

医師の指示で行う24時間蓄尿でも、普段どおり水分をとっている成人では約1,000〜2,000mLが目安です。検査では、ためた尿の総量から1日に排泄される物質の量を計算するため、すべての尿を集めることが大切です。

一般的な方法では、開始時刻の尿はトイレに流し、そこから24時間後の同じ時刻の尿までをすべてためます。1回でもためそこねると、尿量とそこから計算される検査値が低く出ます。容器や保存方法は、病院や検査室の指示に従ってください。

自宅で24時間の尿量を測る方法

朝いちばんの排尿のあとから測り始め、翌朝いちばんの排尿までを含めます。こうすると期間がちょうど24時間になり、同じ排尿を2回数えるという、いちばん多い間違いを防げます。毎回の排尿を計量カップや採尿容器で測り、量と一緒に時刻を記録しましょう。そうすれば合計だけでなく、夜間の割合もわかる排尿日誌になります。1日分で合計がわかり、3日分で傾向がわかります。

受診の目安

  • のどの渇きや体重減少を伴って、尿量が明らかに増えている
  • 普通に飲んでいるのに、1日の尿量が400mL以下(1時間あたり約20mL以下)の状態が続く
  • 尿がほとんど出ない(1日100mL以下)場合は、すぐに受診してください
  • 血尿:量にかかわらず、痛みがなくても、1回だけでも
  • 排尿時の痛みや焼けるような感じ、とくに発熱や腰・背中の痛みを伴う場合
  • 膀胱が空にならない感じ(残尿感)がある
  • 数か月ではなく、数日のうちに尿量が急に変わった
  • 足のむくみや息苦しさとともに、尿量が変わった

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急性腎障害の基準の出典:KDIGO Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury(Kidney Int Suppl 2012;2:1-138)。

この記事は情報提供を目的としたもので、医師による助言・診断・治療に代わるものではありません。